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※不動産クラウドファンディングは元本保証ではありません。
不動産クラウドファンディングの契約成立前書面を読んでいると、利害関係人取引という言葉が出てくることがあります。
関連会社から物件を取得する。
関連会社が賃借人になる。
グループ会社がマスターリース先になる。
運用終了時に自社買取や再組成が想定されている。
こういう取引を見ると、「身内取引だから危ないのでは?」と感じるかもしれません。
ただ、僕は利害関係人取引があるだけで即見送りとは考えていません。
見るべきなのは、結局のところ価格です。
相場より高いのか安いのか。
その取得価格で納得できるのか。
関連会社との賃貸借が、相場から見て無理のない条件なのか。
自社買取や再組成が実行できなかった場合でも、市場売却でどこまで回収できそうなのか。
この記事では、不動産クラウドファンディングの利害関係人取引を、関連会社からの取得、賃貸借、マスターリース、自社買取・再組成の観点から整理します。
成立前書面全体の読み方は不動産クラウドファンディングの契約成立前書面はどこを見る?、募集金額の読み方は不動産クラウドファンディングの募集金額は高すぎる?で詳しく書いているので、今回は利害関係人取引に絞って見ていきます。
この記事でわかること
・利害関係人取引をどう判断するか
・利害関係人取引とは何か
・取得価格を見る理由
・関連会社から取得する案件の見方
・関連会社が賃借人・マスターリース先になる案件の見方
・自社買取・再組成で見るべきこと
・候補、慎重、見送り寄りの判断表
・FAQ
結論|利害関係人取引は「あるか」より価格で見る
先に結論
・利害関係人取引があるだけで即ダメではない
・本質は取得価格が妥当かどうか
・相場より高いなら、その理由を説明できるかを見る
・関連会社が賃借人なら、賃料が相場通りかを見る
・関連会社が無理に負担して利回りを作っていないか確認
・自社買取は利害関係人かより実行力を見る
・自社買取できない場合に市場売却できるかが重要
不動産クラファンの利害関係人取引は、あるかないかだけで判断しない方がいいです。
関連会社から物件を買うこと自体は、別におかしなことではありません。
グループ内で物件情報を持っているからこそ、案件化できることもあります。
関連会社が賃借人になることで、賃料収入が読みやすく見えるケースもあります。
ただし、投資家目線で大事なのは、その価格と条件に納得できるかです。
たとえば、関連会社から取得する物件の価格が周辺相場より高いなら、なぜ高いのか。
築年数、立地、賃料、稼働率、権利関係、売却見込み、鑑定評価などで説明できるのか。
つまり、利害関係人取引は「身内取引だから危険」と決めつけるテーマではありません。
価格の妥当性、条件の明確さ、相手の実行力まで読めるかを見るテーマです。
利害関係人取引とは|関係者との売買・賃貸借・保証が絡む取引
ポイント
・営業者や関連会社など近い相手との取引
・物件取得、賃貸借、管理、保証、買取などで出てくる
・投資家と運営側の利害がズレる可能性を見る
・利害関係人取引そのものより条件の中身が重要
・成立前書面では有無と内容を確認
利害関係人取引は、ざっくり言えば、営業者やその関連会社など、運営側と近い関係にある相手との取引です。
不動産クラウドファンディングでは、次のような形で出てきます。
| 取引の形 | 投資家が見ること |
| 関連会社から取得 | 取得価格が相場や鑑定評価と比べて妥当か |
| 関連会社への賃貸・マスターリース | 賃料が相場通りか、空室リスク・賃料減額・解約条件がどうなっているか |
| 関連会社の保証 | 保証範囲、期間、保証する会社の支払い能力 |
| 自社買取・関連会社買取 | 買い取る余力、実行できない場合の市場売却可能性 |
ここで大事なのは、利害関係人取引があると、運営側に価格や条件を自分たちに有利に設計したい誘惑が生まれやすいことです。
関連会社から高く買えば、売主側には利益が出ます。
関連会社が高い賃料を払えば、ファンドの予定利回りは作りやすくなります。
自社買取を前提にすれば、外部売却より出口を説明しやすくなります。
もちろん、それがすべて悪いわけではありません。
ただし、投資家はその価格や条件が市場でも通用するのかを見ないといけません。
まず見るのは取得価格|相場より高いか安いか、その価格で納得できるか
ポイント
・取得価格が判断の中心
・相場より高いなら理由が必要
・相場より安いなら安い理由も確認
・鑑定評価だけでなく周辺相場や収益力も見る
・募集総額と取得価格の差も確認
利害関係人取引で一番強めに見たいのは、取得価格です。
関連会社から買う場合でも、第三者から買う場合でも、最終的に投資家がリスクを取るのはその価格です。
だから、論点はかなりシンプルです。
その物件を、その価格で買って納得できるか。
ここに尽きます。
取得価格が周辺相場より明らかに高いなら、理由を見ます。
賃料が高いのか。開発余地があるのか。権利関係が整っているのか。売却先が見えているのか。
こうした理由が説明できるなら検討余地はあります。
逆に、相場より高く見えるのに、理由が「グループ会社からの取得」「安定運用を想定」くらいしかないなら、かなり扱いにくいです。
その価格で買う理由が見えないからです。
相場より安い場合も、何も考えずに安心とはしません。
なぜ安いのか。築古なのか、空室なのか、権利関係が複雑なのか、売主側に早く売りたい事情があるのか。安い理由も見ます。
| 見る項目 | 判断したいこと |
| 取得価格 | その価格で買う理由を説明できるか |
| 鑑定評価 | 評価額と取得価格に大きなズレがないか |
| 周辺相場 | 類似物件と比べて高すぎないか、安すぎないか |
| 賃料・利回り | 収益力から価格を説明できるか |
| 募集総額 | 取得価格以外の費用や借入を含めて重すぎないか |
| 下値 | 有事の際にいくらなら売れそうか |
鑑定評価がある場合でも、鑑定評価だけで終わりにしない方がいいです。
鑑定評価は重要な材料ですが、投資家としては、周辺相場、収益力、出口、借入、劣後出資まで合わせて見ます。
募集金額全体の見方は募集金額の記事で詳しく整理しています。
関連会社から取得する案件|売主利益よりも取得価格を見る
ポイント
・関連会社から買うこと自体は問題ではない
・売主利益があるかより取得価格が妥当かを見る
・高値取得なら投資家側の下振れ余地が小さくなる
・取得価格と募集総額の差も見る
・価格説明が薄い案件は慎重
関連会社から物件を取得する案件では、「売主である関連会社が利益を得ているのでは?」という見方が出てきます。
そこは気になります。
ただ、売主が利益を得ること自体は、不動産売買では普通にあります。
第三者から買っても、売主には利益が乗っていることがあります。
なので、本質は売主利益があるかどうかではありません。
その取得価格が妥当かどうかです。
関連会社から高く買っているように見えるなら、投資家はその価格で入ることになります。
取得価格が高ければ、出口で売却価格が少し下がっただけでも、劣後出資を超えて優先出資に損失が届く可能性があります。
逆に、関連会社からの取得でも、周辺相場や収益価格から見て納得できる価格なら、候補に残せます。
グループ内で仕入れられるからこそ、外部から買うより条件が良いケースもあり得ます。
このあたりは、感情で「身内売買だから嫌だ」と切るより、数字で見た方がいいです。
取得価格、鑑定評価、周辺相場、賃料、募集総額、劣後出資、借入。ここがつながっていれば検討できます。
逆に、価格説明が薄いまま関連会社から取得している案件は、利回りが高くても慎重に見ます。
関連会社が賃借人・マスターリース先の場合|賃料が相場通りかを見る
ポイント
・関連会社賃借は収益が安定して見えやすい
・賃料が相場通りか確認
・関連会社が無理に賃料を負担していないか見る
・解約条件や賃料減額条件を見る
・支払い能力は見えないことが多いため過信しない
関連会社が賃借人やマスターリース先になる案件もあります。
厳密には、直接賃貸とマスターリースは契約形態が違います。
ただ、投資家が見るポイントはかなり近いです。
これは一見すると安心材料に見えます。
空室でも一定の賃料が入るように見えたり、グループ内で運用できるため収益が安定しているように見えたりするからです。
ただ、ここで見たいのは、賃料が相場通りかです。
もし関連会社が相場より高い賃料を払っているなら、その賃料で本当に継続できるのかを考えます。
関連会社が無理に高い賃料を負担して予定利回りを作っている構造なら、見た目の収益は安定していても、実態は関連会社の体力に依存します。
本当は、関連会社の財務や支払い能力も見たいです。
ただ、実務上は関連会社の決算まで詳しく見られないケースが多いと思います。だからこそ、まずは物件単体でその賃料が成立するかを見ます。
関連会社がいなくても、同じくらいの賃料で貸せそうなのか。
マスターリースが外れた場合に、通常賃貸でどこまで収益を維持できそうなのか。
賃料減額や中途解約の条件はどうなっているのか。
ここが読めるなら検討しやすいです。
逆に、関連会社の賃料だけで利回りが成り立っていて、相場賃料との比較ができない案件は慎重に見ます。
自社買取・再組成|利害関係人かより実行力と市場売却を見る
ポイント
・自社買取は利害関係人取引かどうかだけで見ない
・本質は実行できるかどうか
・実行できない場合に市場売却できるかを見る
・再組成は集金力が続くかを見る
・物件の下値を置けない案件は慎重
自社買取や再組成は、利害関係人取引と近い論点に見えます。
実際、運営会社やグループ会社が買い取るなら、関係者間の取引になります。
ただ、ここは少し分けて考えた方がいいです。
自社買取や再組成で重要なのは、利害関係人かどうかではありません。
実行できるのか。
実行できなかった場合に、市場売却で回収できるのか。
ここが本質です。
自社買取をうたっていても、買い取る会社に現預金や借入余力がなければ実行できません。
再組成を想定していても、次の投資家から資金が集まらなければ成立しません。
そのため、自社買取や再組成が出てくる案件では、まず実行力を見ます。
運営会社の財務、グループの資金力、過去の償還実績、募集力、案件の人気。ここは材料になります。
ただ、それでも最後は対象不動産です。
自社買取ができなかった場合に、外部へ売れる物件なのか。
再組成ができなかった場合に、市場売却で優先出資にどこまで戻るのか。
ここを見ずに「自社買取だから大丈夫」とは考えません。
自社買取や再組成の出口そのものは、不動産クラウドファンディングの出口戦略で詳しく整理しています。今回の記事では、利害関係人取引の一部として出てきた場合でも、結局は実行力と市場売却可能性を見るという位置づけにします。
情報量が少ない案件|利害関係人取引以前に検討しにくい
ポイント
・取引相手が見えない案件は扱いにくい
・取得価格が見えない案件は判断しにくい
・賃料条件が見えない案件は慎重
・相場比較ができない案件は利回りで補いにくい
・情報量が少ないなら要求利回りは上がる
利害関係人取引を見るうえで、情報量はかなり重要です。
関連会社から買っているのか。
取得価格はいくらなのか。
賃借人は誰なのか。
賃料は相場通りなのか。
自社買取の条件はどこまで決まっているのか。
このあたりが見えないと、投資判断は難しくなります。
もちろん、すべての情報が完璧に開示されるわけではありません。
不動産クラファンでは、営業上の理由で売却先や細かい交渉条件が出ないこともあります。
それでも、最低限、取得価格、鑑定評価、募集総額、賃料条件、利害関係人取引の有無と内容は見たいです。
ここが薄い案件は、利回りが高くてもリスクの置き場所が分からない状態になります。
個人的には、情報量が少ない案件はかなり検討しにくいです。
利回りで納得して小さく分散する余地はありますが、少なくとも「価格が妥当か」を自分の言葉で説明できない案件は、無理に入る必要はないと思っています。
判断表|候補に残す・慎重・見送り寄りを分ける
ポイント
・判断軸は利害関係人取引の有無ではない
・取得価格と賃料条件が読める案件は検討しやすい
・関連会社負担で利回りを作る案件は慎重
・自社買取は実行できない場合まで見る
・説明できない価格は見送り寄り
| 判断 | 利害関係人取引の見え方 | 投資判断 |
| 候補に残す | 取得価格が相場や収益力から説明できる。賃料も相場通り。取引条件が明確。 | 利回り、劣後、借入、運営会社を見て検討 |
| 慎重に見る | 関連会社取引はあるが、価格や賃料の説明はある程度読める。追加確認したい点が残る。 | 投資額を抑えるか、要求利回りを上げる |
| かなり慎重 | 関連会社の賃料負担や自社買取に依存している。市場売却時の下値が見えにくい。 | 実行不能時の市場売却価格を置いてから判断 |
| 見送り寄り | 取得価格、相場比較、賃料条件、取引相手の説明が薄い。 | 利回りが高くても扱いにくい |
| 基本見送り | 利害関係人取引の中身が見えず、価格妥当性も検証できない。 | リスクリターン以前に判断材料が足りない |
この表で一番大事なのは、価格と条件を説明できるかです。
利害関係人取引があっても、取得価格が妥当で、賃料も相場通りで、自社買取に頼らなくても市場売却で一定の回収が見込めるなら、候補に残せます。
逆に、利害関係人取引がない案件でも、募集金額が重く、価格説明が薄く、下値が読めないなら慎重に見るべきです。
結局、不動産クラファンは「誰と取引しているか」だけではなく、いくらで買い、いくらで貸し、いくらで売れそうかを見る投資です。
投資前チェックリスト|利害関係人取引で見るポイント
チェックリスト
・利害関係人取引の有無を確認
・取引相手が誰か確認
・取得価格を確認
・取得価格が相場より高いか安いか確認
・鑑定評価や周辺相場と比べる
・募集総額と取得価格の差を確認
・関連会社が賃借人・マスターリース先なら賃料が相場通りか確認
・空室リスク、解約条件、賃料減額条件を確認
・自社買取や再組成の実行力を確認
・自社買取できない場合の市場売却価格を考える
チェックリストの中でも、まず見るのは取得価格です。
対象不動産をいくらで買うのか。
その価格で自分が納得できるのか。
ここが弱いと、その後の劣後出資や利回りの見方もズレます。
次に、賃料です。
関連会社が賃借人になっている場合、賃料が市場水準と近いのかを見ます。
相場より高い賃料で利回りを作っているなら、その賃料が続く前提を強く疑います。
最後に、自社買取や再組成です。
これは利害関係人取引の一種として見るより、出口実行力として見た方が実務的です。
できるのか。できなかった場合に売れるのか。ここまで考えると、投資前の判断がかなり現実に近づきます。
関連して読みたい記事
ポイント
・成立前書面で利害関係人取引を確認
・募集金額の記事で取得価格と総額を確認
・出口戦略の記事で自社買取と再組成を確認
・運営会社記事で実行力と倒産リスクを確認
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FAQ|利害関係人取引でよくある質問
利害関係人取引がある不動産クラファンは危ないですか?
利害関係人取引があるだけで危ないとは言えません。関連会社から取得すること自体は問題ではなく、取得価格が相場や収益力から見て妥当か、その価格で納得できるかが重要です。価格説明が薄い案件は慎重に見ます。
関連会社から取得する案件では何を見ればいいですか?
取得価格を見ます。周辺相場、鑑定評価、賃料、収益価格、募集総額と比べて、その価格で投資する理由を説明できるかを確認します。売主が関連会社かどうかより、価格の妥当性が本質です。
関連会社が賃借人・マスターリース先なら安心ですか?
安心とは言い切れません。関連会社が賃借人やマスターリース先だと収益が安定して見えますが、賃料が相場通りか、関連会社が無理に負担して利回りを作っていないかを確認します。関連会社の支払い能力も見たいですが、実際には詳しく見えないケースが多いため、物件単体で賃料が成立するかを重視します。
自社買取があれば安心ですか?
自社買取は、利害関係人取引かどうかより実行力を見ます。買い取る会社に資金余力があるか、再組成できる集金力があるか、実行できなかった場合に市場売却できるかが重要です。自社買取は元本保証ではありません。
利害関係人取引がない案件なら安全ですか?
安全とは言えません。利害関係人取引がなくても、取得価格が高い、借入比率が高い、劣後出資が薄い、出口価格が強気、情報量が少ない案件は慎重に見る必要があります。結局は価格、条件、下値、運営会社の実行力をまとめて判断します。
情報量が少ない場合はどう判断しますか?
検討しにくいです。取得価格、相場比較、賃料条件、利害関係人取引の内容が見えないと、元本毀損時の下振れ幅を置けません。利回りで納得して少額分散する余地はありますが、判断材料が薄い案件は基本的に慎重です。
出典・参考
まとめ|利害関係人取引は、価格で読む
不動産クラウドファンディングの利害関係人取引は、あるだけで危ないとは言えません。
関連会社から取得すること自体は問題ではありません。
関連会社が賃借人になることもあります。
自社買取や再組成が出口の一部になることもあります。
ただし、投資家として見るべきことは変わりません。
取得価格は妥当か。
相場より高いなら理由を説明できるか。
関連会社の賃料は相場通りか。
関連会社が無理に負担して利回りを作っていないか。
自社買取や再組成ができない場合でも、市場売却でどこまで回収できるか。
まとめ
・利害関係人取引は有無だけで判断しない
・取得価格が最重要
・相場より高いなら理由を説明できるか確認
・関連会社賃借は賃料が相場通りかを見る
・自社買取は実行力と市場売却可能性を見る
・価格と条件が読めない案件は慎重
・結局は価格の妥当性、条件の明確さ、相手の実行力で判断
利害関係人取引は、怖がるための言葉ではありません。
でも、見落としていい項目でもありません。
「身内取引だからダメ」と短絡せず、逆に「グループ内だから安心」とも思わない。
その価格で買う理由を、自分の言葉で説明できるか。
ここを起点に見るのが、一番現実的だと思います。



