不動産クラウドファンディングの分配金を受け取ると、所得税だけでなく住民税も関係します。会社員が気になりやすいのは、住民税の通知を通じて勤務先に給与以外の所得があると気付かれる可能性です。
ただし、普通徴収(自分で納付)を選べば勤務先に絶対分からない、という制度ではありません。所得の種類、申告内容、自治体の処理によって取扱いが変わるためです。
先に確認すること
・分配金から引かれる20.42%に住民税は含まれない
・所得税の確定申告と住民税申告は別に判定
・給与以外の所得分は「自分で納付」を選べる場合がある
・申告後は自治体の処理結果まで確認
不動産クラウドファンディングの税金全体や還付・追納は不動産クラウドファンディングの税金記事、実際の入力画面はe-Taxの入力手順で詳しく解説しています。
※本記事は2026年7月26日時点の一次情報をもとにした一般的な解説です。申告の要否や普通徴収の可否は、所得の内容、勤務状況、控除、自治体によって異なります。最終判断は税務署・自治体・税理士へ確認してください。
この記事でわかること
・先に結論
・住民税を通じて勤務先へ通知される仕組み
・特別徴収と普通徴収の違い
・分配金から引かれる20.42%の正体
・申告前から6月までの確認手順
・e-Taxで「自分で納付」を選ぶ方法
・普通徴収を選んでも確認が必要なケース
・勤務先に通知される内容
・住民税の計算例
・20万円以下でも必要な住民税申告
・よくある質問
・まとめ
先に結論|普通徴収は選択後の確認まで必要
ポイント
・20.42%に住民税は含まれない
・確定申告の20万円ルールと住民税申告は別
・「自分で納付」は給与以外の所得が対象
・普通徴収の可否は自治体で最終確認
匿名組合型の不動産クラウドファンディングでは、利益分配から20.42%が源泉徴収されるのが一般的です。しかし、この20.42%は所得税20%と復興特別所得税0.42%で、住民税は含まれません。
会社員が所得税の確定申告をする場合、申告画面で給与・公的年金等以外の所得に係る住民税を「自分で納付」と選択できるケースがあります。確定申告をしない場合は、自治体へ住民税申告を行い、納付方法を確認するのが基本です。
一方で、普通徴収を希望しても、所得区分や自治体の処理によって特別徴収になることがあります。したがって、この記事では申告画面で選んで終わりではなく、申告後から6月までに自治体へ確認するところまでを一連の手順として扱います。

大切なのは「税金を正しく申告すること」と「住民税の納付方法を確認すること」を分けて考えることです。
住民税を通じて勤務先へ通知される仕組み
ポイント
・会社員の住民税は原則として給与天引き
・住民税は前年所得をもとに翌年度課税
・勤務先へ届くのは特別徴収する税額情報
・副収入の具体的な内容が常に伝わるわけではない
会社員の住民税は、勤務先が毎月の給与から天引きして自治体へ納付する特別徴収が原則です。前年に不動産クラウドファンディングの所得があると、その所得を含めて翌年度の住民税が計算されます。
給与以外の所得分まで特別徴収に含まれると、勤務先へ通知される住民税額が給与だけをもとにした想定より高くなることがあります。これが「住民税で会社にバレる」と言われる主な仕組みです。
税務署が投資内容を勤務先へ知らせる仕組みではない
勤務先が受け取る特別徴収義務者用の通知書には、従業員ごとの年税額や月ごとの徴収額などが記載されます。ただし、自治体の案内では、勤務先用通知書に所得の種類、所得金額、所得控除の内訳を記載しない扱いも示されています。
そのため、税額が高いだけで勤務先が不動産クラウドファンディングの分配金まで特定できるとは限りません。一方、社内処理や就業規則の確認など、税額以外の事情から問い合わせを受ける可能性までは否定できません。
特別徴収と普通徴収の違い
ポイント
・特別徴収は勤務先が給与から天引き
・普通徴収は本人が納付
・「自分で納付」は給与以外の所得分で選択
・希望どおり処理されない場合もある
| 区分 | 仕組み |
|---|---|
| 特別徴収 | 勤務先が住民税を給与から天引きし、本人に代わって自治体へ納付 |
| 普通徴収 | 本人に納付通知が届き、納付書や口座振替などで本人が納付 |

アルバイトなどの給与所得は分けて考える
e-Taxの選択欄は、給与・公的年金等以外の所得に係る住民税が対象です。アルバイトや副業先から受け取る給与は給与所得であり、不動産クラウドファンディングの利益分配とは扱いが異なります。
2026年度から複数の給与に係る住民税の特別徴収を一本化する案内を出している自治体もあります。「自分で納付」を選べるかどうかは、収入の呼び方ではなく税務上の所得区分で確認してください。
分配金と20.42%の源泉徴収
ポイント
・匿名組合型の利益分配は原則として雑所得
・源泉徴収は所得税20%と復興特別所得税0.42%
・住民税は20.42%に含まれない
・税金がかかるのは元本ではなく利益部分
国税庁の所得税基本通達では、匿名組合契約に基づいて受ける利益分配は、原則として雑所得として扱うと整理されています。多くの匿名組合型サービスでは、利益分配の支払時に20.42%が源泉徴収されます。

たとえば税引前の利益分配が10,000円なら、20.42%にあたる2,042円が所得税等として源泉徴収され、手取りは7,958円です。この時点で住民税まで納付済みになったわけではありません。
匿名組合型以外は契約内容を確認
任意組合型などでは、投資家の権利や所得の性質が匿名組合型と異なり、所得区分も変わる場合があります。また、匿名組合員が営業者の事業へ実質的に関与する特殊なケースも、一般的な扱いと異なり得ます。年間取引報告書、契約成立前書面、サービスの税務案内を確認してください。
源泉徴収、還付・追納、必要経費までまとめて確認したい方は、不動産クラウドファンディングの税金・確定申告を参照してください。
申告前から6月までの確認チェックリスト
ポイント
・税引前分配金と源泉徴収額を集計
・所得税と住民税を別に判定
・納付方法を申告画面で確認
・申告後は自治体の処理結果を確認
- 年間の資料を集める
各サービスの年間取引報告書、支払調書、入出金履歴などを用意し、税引前の利益分配と源泉徴収税額を確認します。 - 所得を合算する
複数サービスを利用している場合は、利益分配と必要経費を合算します。20万円の判定に使うのは収入ではなく、必要経費を差し引いた所得です。 - 所得税の確定申告が必要か判定する
20万円以下でも、複数給与、医療費控除、住宅ローン控除の初年度、還付申告などがあれば扱いが変わります。 - 住民税の申告方法を確認する
所得税の確定申告をする場合は、その情報が自治体へ送られます。確定申告をしない場合は、自治体への住民税申告が原則として必要です。 - 給与以外の所得分の納付方法を選ぶ
申告画面で「自分で納付」を選択し、送信前の確認画面や申告データを保存します。 - 申告後から6月までに自治体へ確認する
給与以外の所得分が普通徴収として処理されるか、住民税担当部署へ確認します。6月ごろは納付通知や給与明細も確認してください。
自治体への確認時は、勤務先に知られないかを尋ねるより、「給与以外の所得に係る住民税は普通徴収で処理されていますか」と具体的に確認すると話が通りやすくなります。
e-Taxで「自分で納付」を選ぶ方法
ポイント
・税引前の分配金を入力
・源泉徴収税額も入力
・住民税の徴収方法を確認
・送信後の申告データを保存
e-Taxの画面名称や配置は申告年度によって変わりますが、確認する流れは次のとおりです。
- 分配金を雑所得として入力する
匿名組合型の一般的な例では、雑所得の「その他」などから、税引前の利益分配を収入金額として入力します。 - 必要経費と源泉徴収税額を入力する
年間取引報告書などに記載された金額を使用します。税引後の受取額を収入金額として入力しないよう注意してください。 - 住民税・事業税に関する事項を開く
「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」の項目を確認します。 - 「自分で納付」を選択する
選択後、確認画面や送信前の申告内容で反映されているか確認します。 - 受信通知と申告データを保存する
自治体へ問い合わせるときに、選択内容を説明できるよう記録を残します。
実際の画面を見ながら入力したい方は、不動産クラウドファンディングの確定申告をe-Taxで行う手順で確認できます。

「自分で納付」を選んだ記録を残し、自治体の処理結果まで確認するのが実務的です。
普通徴収を選んでも確認が必要なケース
ポイント
・副業先の給与は対象外になりやすい
・自治体の処理基準に差がある
・税額控除で普通徴収額が出ない場合もある
・引っ越した場合は1月1日の住所地を確認
給与所得が含まれるケース
アルバイトなどの給与所得は、給与以外の所得分を対象とする「自分で納付」の選択とは別です。不動産クラウドファンディング以外にも収入がある人は、それぞれの所得区分を分けて確認してください。
自治体の処理で普通徴収にならないケース
自治体は申告内容と所得区分を確認して徴収方法を決めます。公式案内でも、申告内容によって「自分で納付」を選択できない場合があると明記されています。選択欄への入力だけで結果を確定したと考えないことが大切です。
普通徴収の納付額が発生しないケース
ふるさと納税などの税額控除が給与以外の所得に対応する住民税額を上回ると、普通徴収として分ける税額が発生しない場合があります。この場合、普通徴収の納付書が届かないからといって、申告が反映されていないとは限りません。
引っ越しや申告内容の訂正があるケース
個人住民税は原則として、その年の1月1日時点の住所地で課税されます。申告後に転居した人や申告内容を訂正した人は、どの自治体が処理を担当するかも含めて確認してください。
会社には何が通知される?副収入の内容まで分かる?
ポイント
・勤務先用通知には年税額と月額などを記載
・副収入の種類や金額は通常記載されない
・本人用通知には所得や控除の情報を記載
・税額から投資内容まで特定できるとは限らない
| 通知書 | 主な内容 |
|---|---|
| 勤務先用 | 従業員ごとの特別徴収税額、月ごとの徴収額など。引用した自治体の案内では、所得の種類・所得金額・所得控除の内訳は記載しない |
| 本人用 | 所得や所得控除など本人向けの詳しい情報。勤務先は封を開けず本人へ渡す運用が案内されている |
勤務先は給与額を把握しているため、給与に対して住民税額が高いと感じる可能性はあります。ただし、住民税額が変わる理由には、不動産クラウドファンディング以外の所得、控除、税額控除など複数の要因があります。
したがって、住民税額だけで分配金の金額や利用サービスまで分かるとは限りません。一方で、勤務先の就業規則、申告制度、社内での確認方法は税制とは別です。投資が勤務先の規程上どのように扱われるかは、必要に応じて社内規程も確認してください。
住民税はいくら増える?計算例
ポイント
・所得割は標準税率で合計10%が目安
・計算は分配金ではなく所得を使用
・住民税は翌年度に反映
・実額は控除と自治体で変動
個人住民税の所得割は、標準税率では市町村民税と都道府県民税を合わせて10%です。不動産クラウドファンディングの所得が増えたことによる住民税の増加幅は、単純化すると所得の増加額×約10%が一つの目安になります。
| 課税対象となる所得の増加 | 所得割の増加目安 |
|---|---|
| 5万円 | 約5,000円 |
| 10万円 | 約1万円 |
| 20万円 | 約2万円 |
| 50万円 | 約5万円 |
| 100万円 | 約10万円 |
※所得割を標準税率10%で機械的に計算した目安です。必要経費、所得控除、税額控除、均等割、森林環境税、自治体独自の税率は反映していません。実際の税額は自治体の税額決定通知書で確認してください。
たとえば、税引前の利益分配が年間20万円、必要経費が2万円なら、所得は18万円です。他の条件を固定して標準税率10%だけで見ると、住民税所得割の増加目安は約1万8,000円となります。
20万円以下でも住民税申告は別
ポイント
・20万円は所得税の確定申告に関する基準
・住民税の申告不要を意味しない
・確定申告をすれば住民税情報も自治体へ送付
・確定申告をしない場合は自治体へ申告

| 一般的な状況 | 確認する対応 |
|---|---|
| 給与以外の所得が20万円超 | 所得税の確定申告を原則として検討。申告情報は自治体へ送付 |
| 給与以外の所得が20万円以下で、確定申告をしない | 所得税の申告が不要でも、自治体へ住民税申告を行うのが原則 |
| 還付、医療費控除などで確定申告する | 20万円以下の所得も含めて申告。別の住民税申告は通常不要 |
| 複数給与、年末調整未済などがある | 20万円以下でも別の申告要件があり得るため、国税庁・税務署へ確認 |
国税庁は、所得税の確定申告書を提出した場合、その情報が自治体へ送られるため、同じ所得について住民税申告を別に行う必要はないと案内しています。一方、所得税の確定申告をしない場合は、自治体へ住民税申告を行う必要があります。
なお、20万円は税引前の受取額ではなく、収入から必要経費を差し引いた所得で判定します。不動産クラウドファンディング以外の雑所得がある場合は合算してください。
よくある質問
Q1. 「自分で納付」を選んだのに給与天引きになったら?
申告時の選択内容を確認したうえで、自治体の住民税担当部署へ「給与以外の所得に係る住民税が普通徴収で処理されているか」を問い合わせてください。所得区分や税額控除の状況によって、希望どおり分離されない場合があります。
Q2. 所得が20万円以下なら何もしなくてよい?
いいえ。一定の給与所得者は所得税の確定申告が不要になる場合がありますが、住民税申告は別です。所得税の確定申告をしない場合は、原則として自治体へ住民税申告を行います。
Q3. 20.42%が引かれていても住民税を払う?
はい。20.42%は所得税と復興特別所得税の源泉徴収で、住民税は含まれません。住民税は前年の所得をもとに翌年度課税されます。
Q4. ふるさと納税のワンストップ特例を利用している場合は?
所得税の確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります。確定申告へふるさと納税の寄附金控除も含めてください。住民税申告だけを行う場合の手続きは自治体へ確認してください。
Q5. 複数サービスの分配金は別々に20万円を判定する?
いいえ。各サービスの税引前利益分配と必要経費を集計し、不動産クラウドファンディング以外の雑所得も含めて合算します。1社ごとの判定ではありません。
Q6. 任意組合型も雑所得でよい?
一律には判断できません。任意組合型は契約内容や所得の性質によって扱いが変わる場合があります。サービスの税務案内と交付書類を確認し、不明な場合は税務署または税理士へ相談してください。
まとめ|所得税と住民税を分けて確認
まとめ
・匿名組合型の利益分配は原則として雑所得
・20.42%は所得税と復興特別所得税
・所得税の20万円ルールと住民税申告は別
・給与以外の住民税は「自分で納付」を選べる場合あり
・普通徴収の処理結果は自治体へ確認
不動産クラウドファンディングの住民税で迷いやすい原因は、源泉徴収、所得税の確定申告、住民税申告、住民税の納付方法を一度に考えてしまうことです。
まず所得税の申告要否を判定し、次に自治体への住民税申告を確認し、最後に給与以外の所得分をどの方法で納付するか確認してください。「自分で納付」を選んだ場合も、申告後から6月までに自治体の処理結果を確認すると認識違いを防げます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の申告要否、所得区分、普通徴収の可否は、税務署・自治体・税理士へ確認してください。




