【年収別】不動産クラファン(雑所得・総合課税)vs デジタル証券(申告分離課税)手取り分岐点|社保控除込み
同じ「年利5%」でも、手残りは税制で普通に変わります。
特に、不動産クラウドファンディング(雑所得・総合課税)と、デジタル証券(申告分離課税のST)は、税金の計算方法が違うので年収(≒限界税率)次第で「どっちが得か」がひっくり返るんですよね。
※税制は個別事情で変わるため、最終判断は税務署・税理士にご確認ください。
本記事では、
・総合課税(雑所得)型:不動産クラファン / GK-TK証券化(renga等)
・分離課税(申告分離)型:デジタル証券(ALTERNA等)
を投資100万円・年利5%・1年で並べて、家族構成別に「手取り分岐点」をバシッと可視化します。

この記事でわかること
・先に結論:分岐点は「課税所得330万円」
・総合課税(雑所得)と申告分離課税の違い
・シミュレーション前提(投資100万円・年利5%)
・【独身会社員】年収別:どっちが有利?(早見表)
・【夫婦+子(配偶者無収入)】年収別:どっちが有利?(早見表)
・売却益(出口)があると差はどれくらい広がる?
・実務で差が出るポイント(見落としがち)
・まとめ
結論:分岐点は「課税所得330万円」を超えるかどうか
結論からいきます。
総合課税(雑所得)の「増える分」にかかる税率は、あなたの限界税率(所得税率)で決まります。
一方、申告分離課税(上場株式等と同じ枠のデジタル証券)の分配金・売却益は、基本的に20.315%で固定です。
※配当所得扱いのものは、確定申告で「総合課税」を選ぶことも可能です(ただし課税方式は原則“一括選択”、あとから変更不可、住民税も同じ課税方式に一致します)。
なので、税率帯の境目で勝負が決まるという話になります。
結論
・分岐点の本質は 「課税所得330万円」を超えるか(所得税率が10%→20%に上がる境目)
・所得税10%帯まで:総合課税(雑所得)と分離課税(20.315%)はほぼ互角〜総合課税がわずかに有利
・所得税20%帯に入った瞬間:分離課税(20.315%)が明確に有利になりやすい

| 所得税率 | 総合課税 合計税率(概算) | 総合課税 手取り(5万円) | 分離課税 手取り(20.315%) | 結論 |
|---|---|---|---|---|
| 5% | 15.105% | 42,448円 | 39,843円 | 総合課税が有利(+2,605円) |
| 10% | 20.210% | 39,895円 | 39,843円 | ほぼ互角(+52円) |
| 20% | 30.420% | 34,790円 | 39,843円 | 分離課税が有利(+5,053円) |
| 23% | 33.483% | 33,259円 | 39,843円 | 分離課税が有利(+6,584円) |
| 33% | 43.693% | 28,154円 | 39,843円 | 分離課税が有利(+11,689円) |
※総合課税の合計税率(概算)=住民税10%+所得税×1.021(復興特別所得税2.1%を考慮)
年収に換算するとどのあたり?(目安)
・(社保控除を入れない超シンプル換算):独身 約552.5万円/夫婦(配偶者無収入)約600万円
・(会社員の現実寄り:社保控除を概算で入れると):独身 約670万円/夫婦(配偶者無収入)約720万円
※社保は健保組合・介護保険・賞与・標準報酬などでブレます。目安として「年収×約14.5%」で社会保険料控除を入れた概算です。
一番確実なのは、自分の「課税所得」を見て判断することです。
会社員なら源泉徴収票の
「給与所得控除後の金額」−「所得控除の額の合計額」=課税所得(目安)
が330万円を超えているかを見れば、ほぼ答えが出ます。

総合課税(雑所得)型 vs 申告分離課税型:なぜ手取りが変わる?
総合課税(雑所得)型:不動産クラファン / GK-TK証券化(renga等)
不動産クラウドファンディングの分配金(利益分配)は、多くのケースで「雑所得」扱い→総合課税になります。
つまり、給与など他の所得と合算され、税率はあなたの所得水準(限界税率)で上がっていくということです。
ポイント
・雑所得(総合課税)は年収が上がるほど不利になりやすい
・利益分配は雑所得で総合課税、利益分配部分に20.42%の源泉徴収があることが多い
※ただし「出資金の払戻し」部分は非課税扱いになるケースがあるため、案件によって実効税率は動きます。

申告分離課税型:デジタル証券(ALTERNA等)
デジタル証券(ST)でも、ALTERNAのように税制上「上場株式等」扱いになっているものは、分配金・売却益が申告分離課税(原則20.315%)で計算されます。
要するに、給与が高くても税率が固定されやすいので、総合課税(雑所得)と比べると高所得帯で税制メリットが出やすいです。
ポイント
・分配金:原則20.315%
・売却益:利益が出れば20.315%
・給与などと合算しないので、年収が高いほど相対的に有利になりやすい


つまり「税率が上がる総合課税」か「固定の分離課税」かで、手取りが割れてくるってことですね。
利回りだけ見てると普通に見落とします。
今回のシミュレーション前提(記事内の統一条件)
- 税制の前提年:令和7年分(2025年分)以後の考え方で統一(令和7・8年は基礎控除に加算あり)
- 投資前提:投資100万円、年利5%、運用期間1年
- 分配金(インカム):5%→5万円/年
- 課税対象:読みやすさ優先で分配金は全額課税として比較
- 住民税:標準の10%で概算(均等割など細部は無視)
- 社会保険料控除:会社員想定で年収×14.5%を概算で反映(健保組合・介護保険・賞与などでブレます)
- 売却益(出口):別章で売却益+5%(+5万円)のケースも1つ入れる

※本記事は「比較の軸」を分かりやすくするための概算です。実務では、iDeCo/ふるさと納税/住宅ローン控除/生命保険料控除/医療費控除などで課税所得が動きます(=分岐点も動きます)。
【独身会社員】分岐点と年収別早見表(社保控除込み)
独身会社員の場合、社保控除込みの分岐点は年収ざっくり「約670万円」前後になります。
ここを超えてくると(課税所得330万円超になりやすく)、総合課税(雑所得)が20%帯に入り、申告分離課税(20.315%)が勝ちやすくなる、という構図。
分岐点の計算ロジック(ざっくり)
細かい控除を全部無視して、概算だけ書くとこんな感じです。
- 年収670万円(給与収入)
- 給与所得控除(年収660万超のゾーン):670万×10%+110万=177万円
- 給与所得:670万−177万=493万円
- 基礎控除(令和7・8年の加算込みでこの所得帯は概ね63万円)
- 社会保険料控除(概算):670万×14.5%=約97万円
- 課税所得の目安:493万−63万−97万=約333万円 → 330万円を超える

なので、年収670万円前後が「10%帯→20%帯」に入る境界になりやすいという話です。
※「社保を無視する」超シンプル換算なら、独身は約552.5万円が境界になります。
年収レンジ別:手取り早見表(おすすめの刻み)
| 年収 | 総合課税 手取り(5万円) | 分離課税 手取り(20.315%) | 有利 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 42,448円 | 39,843円 | 総合課税 | +2,605円 |
| 500万円 | 39,895円 | 39,843円 | ほぼ同じ | +52円 |
| 700万円 | 34,790円 | 39,843円 | 分離課税 | +5,053円 |
| 900万円 | 34,790円 | 39,843円 | 分離課税 | +5,053円 |
| 1,200万円 | 33,259円 | 39,843円 | 分離課税 | +6,584円 |
| 1,500万円 | 28,154円 | 39,843円 | 分離課税 | +11,689円 |
| 2,000万円 | 28,154円 | 39,843円 | 分離課税 | +11,689円 |
ここでのポイントは「年収500万くらいまでは大差ない」けど、
年収700万あたりから一気に分離課税が強くなるというところです。
この差は投資額が増えるほど、当然そのまま拡大します。
年収レンジ別:詳細版(A刻み)
| 年収 | 総合課税 手取り(5万円) | 分離課税 手取り(20.315%) | 有利 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 42,448円 | 39,843円 | 総合課税 |
| 400万円 | 42,448円 | 39,843円 | 総合課税 |
| 500万円 | 39,895円 | 39,843円 | ほぼ同じ |
| 600万円 | 39,895円 | 39,843円 | ほぼ同じ |
| 700万円 | 34,790円 | 39,843円 | 分離課税 |
| 800万円 | 34,790円 | 39,843円 | 分離課税 |
| 1,000万円 | 34,790円 | 39,843円 | 分離課税 |
| 1,200万円 | 33,259円 | 39,843円 | 分離課税 |
| 1,500万円 | 28,154円 | 39,843円 | 分離課税 |
| 2,000万円 | 28,154円 | 39,843円 | 分離課税 |

「年収700万くらいから、雑所得(総合課税)が急に重くなる」ってイメージでOK。
投資額が大きい人ほど差が目立ちます。
【夫婦+子(配偶者無収入)】分岐点と年収別早見表(社保控除込み)
夫婦(配偶者無収入)+子(16歳未満)の場合、配偶者控除が入るぶん、分岐点が少し上にズレます。
社保控除込みの目安でいうと、年収ざっくり約720万円前後が境界になりやすいです。
分岐点の計算ロジック(ざっくり)
- 年収720万円
- 給与所得控除:720万×10%+110万=182万円
- 給与所得:720万−182万=538万円
- 基礎控除(この所得帯は概ね63万円)
- 配偶者控除:38万円(配偶者無収入を想定)
- 社会保険料控除(概算):720万×14.5%=約104万円
- 課税所得の目安:538万−63万−38万−104万=約333万円 → 330万円を超える

※「社保を無視する」超シンプル換算なら、夫婦(配偶者無収入)は約600万円が境界になります。
年収レンジ別:手取り早見表(おすすめの刻み)
| 年収 | 総合課税 手取り(5万円) | 分離課税 手取り(20.315%) | 有利 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 42,448円 | 39,843円 | 総合課税 | +2,605円 |
| 500万円 | 42,448円 | 39,843円 | 総合課税 | +2,605円 |
| 700万円 | 39,895円 | 39,843円 | ほぼ同じ | +52円 |
| 900万円 | 34,790円 | 39,843円 | 分離課税 | +5,053円 |
| 1,200万円 | 33,259円 | 39,843円 | 分離課税 | +6,584円 |
| 1,500万円 | 28,154円 | 39,843円 | 分離課税 | +11,689円 |
| 2,000万円 | 28,154円 | 39,843円 | 分離課税 | +11,689円 |
夫婦(配偶者無収入)の場合、「年収700万付近までは互角」→「年収900万あたりから分離課税が強い」という見え方になります。
独身よりも、分岐点がちょい上にズレるイメージ。
年収レンジ別:詳細版(A刻み)
| 年収 | 総合課税 手取り(5万円) | 分離課税 手取り(20.315%) | 有利 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 42,448円 | 39,843円 | 総合課税 |
| 400万円 | 42,448円 | 39,843円 | 総合課税 |
| 500万円 | 42,448円 | 39,843円 | 総合課税 |
| 600万円 | 39,895円 | 39,843円 | ほぼ同じ |
| 700万円 | 39,895円 | 39,843円 | ほぼ同じ |
| 800万円 | 34,790円 | 39,843円 | 分離課税 |
| 1,000万円 | 34,790円 | 39,843円 | 分離課税 |
| 1,200万円 | 33,259円 | 39,843円 | 分離課税 |
| 1,500万円 | 28,154円 | 39,843円 | 分離課税 |
| 2,000万円 | 28,154円 | 39,843円 | 分離課税 |

配偶者控除があるぶん、分岐点がちょっと上がるのは直感通り。
ただ、900万超えてくると分離課税が普通に強いですね。
売却益(出口)があると、差はどれくらい広がる?
ここまで「分配5万円」の比較でしたが、出口で売却益が出るタイプだと差はもっと分かりやすくなります。
今回は条件として、売却益+5%(+5万円)も1回入れる前提でした。
つまり、利益が合計10万円(分配5万+売却益5万)になったケースで見てみます。

| 所得税率 | 総合課税 手取り(利益10万) | 分離課税 手取り(20.315%) | 差 |
|---|---|---|---|
| 5% | 84,895円 | 79,685円 | +5,210円 |
| 10% | 79,790円 | 79,685円 | +105円 |
| 20% | 69,580円 | 79,685円 | +10,105円 |
| 23% | 66,517円 | 79,685円 | +13,168円 |
| 33% | 56,307円 | 79,685円 | +23,378円 |
はい、出口利益が乗ると「差が2倍」になります。
なので、キャピタルが狙える商品ほど、税制(総合or分離)で実質利回りが変わりやすいんですよね。
実務で差が出るポイント(見落としがち)

①「分配金=全額課税」とは限らない(商品ごとに実効税率が動く)
本記事は読みやすさ重視で「分配金は全額課税」として比較しました。
ただ実際には、rengaのように「利益分配」と「出資金の払戻し」で扱いが分かれることがあります。
この場合、払戻し部分は非課税なので、実効税率は下がります。
結局、目論見書/約款/FAQの“課税区分”は必ず確認したいところです。
②申告分離課税は「損益通算」の武器がある
申告分離課税(上場株式等)は、同じ枠内で譲渡損益・配当等の損益通算ができたり、損失繰越ができたりします(口座区分によっては自動で反映される)。
総合課税(雑所得)側は、損益通算の自由度が低いので、負けたときのリカバリーまで含めると、分離課税側がさらに有利に見える人も多いかと思います。
③源泉徴収があっても「最終税額」ではない(総合課税側)
総合課税(雑所得)型は、源泉徴収がされていても確定申告で精算になります。
例えばrengaでは利益分配部分に源泉徴収(20.42%)がある案内がありますが、
・あなたの限界税率がそれより低ければ還付
・高ければ追加納税
という形で最終的に調整されます。
④令和9年(2027年)以後は「基礎控除の加算」が縮む可能性
令和7・8年(2025・2026年)は、基礎控除に加算が入る制度設計になっています。
一方で令和9年以後(2027年以後)は、所得帯によっては基礎控除が58万円に寄る想定が案内されています。
ここが変わると、分岐点(年収換算)は少し下にズレる可能性があります。
※本記事は「まず分岐点の構造を理解する」目的なので、令和7年分以後の枠で統一して概算しています。
⑤最終的には「自分の課税所得」で判断するのが最強
繰り返しですが、年収はあくまで換算の目安です。
控除(ふるさと納税、iDeCo、生命保険、住宅ローン等)が入ると、課税所得は普通に動きます。
なので、源泉徴収票の
「給与所得控除後の金額」−「所得控除の額の合計額」
を見て、330万円を超えているかを確認するのが一番早いです。
まとめ
最後にまとめです。
- 分岐点の本質は「課税所得330万円」(所得税率10%→20%)
- 独身会社員:社保込みの年収換算で約670万円前後が目安
- 夫婦+子(配偶者無収入):社保込みの年収換算で約720万円前後が目安
- 分配5万円レベルでも差は出るが、出口(売却益)が乗ると差は拡大する
- 実務では、分配の内訳(利益/払戻し)や損益通算、確定申告の有無まで含めて判断する
利回りは「税引前」だけ見ても意味がないので、
・自分の課税所得が330万を超えているか?
・投資の利益はどれくらい出る想定か?(出口含む)
をセットで考えていきたいところですね。



